花よ、気高く咲き誇れ

『でもね、腐ってしまって。いつも上辺だけの笑みを浮かべるようになってしまって。終いには逃げるように一人暮らしを始めて』



『………………』



『面倒くさい息子だけど、ハナさんお願い。傍にいてあげて。あなたみたいに何も聞かずに傍にいてくれる人が必要……』



「あっ！水谷く……」



　水谷母の言葉に耳を傾けていた私は水谷君の出現にまったく気が付かなかった。


　いきなり、携帯を取り上げられた。



『母さん、本当にいいかげんにしてくれる？蓮井さんに余計なこと吹き込むの』



　大きなため息は心底うんざりしていることが嫌と言うほど伝わる。


　何か水谷母が言っているのを面倒くさそうに聞いて、眉をしかめる水谷君。



『ハナの誕生日は考えておくって言っただろ？まだ来週なんだから。決まったら連絡する。もう切るよ』



　それだけ言うと、水谷君はあっさり切り、私の手へと携帯を返す。



「本当に過保護な母親で恥ずかしいよ」



　濡れている髪を拭きながらため息を吐く。



「ど、どうして水谷母からの電話だと！？」



「水谷母？面白いネーミングだ。わかるよ。蓮井さんの声大きいから」



　なるほど。


　そうですね。