花よ、気高く咲き誇れ
2人のハナ
赤いリボンを巻いた大きな熊と花束を携えて、私と水谷君は誕生日会へと向かった。
2歳に花束とは、さすが水谷君。
紳士的だな、って思って呟いたら。
「花が大好きなんだ」
同じ名前でもハナちゃんは女の子らしい女の子なのだそうだ。
可愛らしい花を何種類か選び花束にしてもらうと、何とも鮮やかで水谷君に花束を贈られる姪御を羨ましく思ってしまった。
花なんて全く興味もないのに、彼には女の子と扱いして欲しいと思っている自分に苦笑する。
実家に帰ることをあれほど嫌がっていた水谷君だったけど、帰ると決めてからは何とも潔く戸惑う表情など見せずに玄関のドアを開いた。
でも、私は気付いていた、ドアノブを握る手が少し震えたことに。
「ただいま。蓮井さんも連れて……」
「あおいおにいちゃんっ!」
何とも愛らしいピンクのふりふりドレスを着た二つ結びの姪御がすぐに飛び出してきた。
ハナ、という名前もこの子なら許されると満面の笑みの幼子に視線を注いだ。
「ハナ。お誕生日おめでとう。今日は一段と可愛いよ」
2歳児にまで紳士的な水谷君のセリフに本日二度目の感心をしていると、ハナちゃんは私に目を向けた。