花よ、気高く咲き誇れ
ハナちゃんは同じ名前の私のことも気に入ってくれたらしく、私に色々話してくれる。
本当に物怖じせず、みんなに愛されている姿はお伽噺話のお姫さまのようだ。
ずいぶんと頭が良く、口達者で聞いていて非常に面白い。
そして、水谷君と水谷兄はふつーに話している。
爽やかな風を巻き起こして。
二人そろうとあまりに爽やか過ぎて、森の泉にいるような気分だ。
相当な不仲……というより、水谷君が一方的に水谷兄を避けるかと思ったら、一般的な兄弟のように特別仲が良いいわけではないけど会えば話す、そんな関係。
かなり拍子抜けだった。
水谷君が、この間の学食のように暴走するかと思いきや、いつも通りで。
私はそれが上っ面だとはまったく気付かなかった。
二人そろって、腹に言いたいことを隠して当たり障りのない話をしているだけということに。
「蓮井さんにすっかり懐いて。良かったわねハナ、素敵なお姉さんが来てくれて」
ふわっとへにゃっと笑う水谷兄嫁はやっぱり先崎さんと似ている。
「わたしもおねえさんになるんだよっ!!」
「…………え?」
私の膝に座りながらハナちゃんがそんな発言をしたら、隣の水谷君が小さく声を漏らした。