背中合わせ、そこから一歩。
家に着いて
お水を飲ませたりお風呂に入ってもらったりと部長のお世話に忙しなく動いている私とは対照的に、酔った部長は呑気なことを何だって言いたい放題なわけで。
「お前は本当によくできる女だ。嫁に来い。」
なんて、好きな人からなら冗談でも嬉しい言葉をたくさん言ってくれるから
「だったら…部長のお嫁さんにしてください。」
もちろん冗談で、だけど少しだけ期待を込めて、ソファーでごろんと横になっている部長に背を向けて、そう返事をした。
それなのに、部長は一向に何の返事もしてくれないから、だんだん恥ずかしくなってきた私が痺れを切らして部長の方に振り返った瞬間、
「好きだ。」
低く真面目な声でそう囁かれ
突然に唇を奪われた。