魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
Lily1 お初にお目にかかります
扉を開けた先にいたのは、まさしくお嬢様。
ピンクのフリルがスカート部分を彩り、散りばめられたグリッターが照明のもとで眩く光を放つ。
腰まであるブロンドの髪がふわりと舞って、濃紺の瞳が私を捉えた。
「君は……」
艶のある薄い唇が動く。
視覚で与えられる情報すべてが、きらきら輝いていた。目の前の「少女」に目を奪われる。逸らせない。
まるで、魔法にかけられてしまったみたい――。
「お初にお目にかかります」
自身の胸に手を添え、心音を宥めるようにゆっくりと発声した。
数歩近付き、跪いて名乗ってから、興奮冷めやらぬままに私は告げる。
「早速ですが、――私にお化粧をさせて頂けませんか?」
「………………は?」
この時、自分が出会った「お嬢様」の正体をもっと早く知っていれば。
そんな後悔はきっと、後の祭りなんだろう。
でも、ここへやって来たことは後悔していない。
自分のことは自分で決める。だって私の人生なんだから――。
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