魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
Lily5 お望みとあらば
「サーモン、レタスハム、エビとアボカド……それからフルーツサンドもありますよ! 蓮様、いかがなさいますか?」
よく日の当たる中庭――の、木陰。
隣にいる蓮様に、私はランチボックスの蓋を開けながら伺いを立てる。
「蓮様?」
「ああ……ごめん、聞いてなかった」
ばっさりと切り捨てられ、思わず項垂れた。
そんな私の手元を覗き込み、椿様が声色を明るくする。
「これ、百合ちゃんが作ったの? すごい量だね」
「はい! 椿様も、よろしければどうぞ」
「ありがとう。じゃあ一つ貰おうかな」
四月も終わりに近い今日この頃、私たちは穏やかな昼休みを過ごしていた。
先日蓮様が私を専属執事だと告げたことは、瞬く間に学校中に広まった。
以前より周囲からの目が厳しくなったと感じなくもないけれど、むしろ堂々と蓮様と接することができるようになり、私としては万々歳である。
椿様や楓とも、こうして一緒に昼食をとるようになった。
「あ、椿様。やめといた方がいいですよ、百合の手作りは」
サンドイッチを一つ掴んだ椿様に、楓がすかさず口を挟む。
やめといた方がいいとは失礼な。内心、ジト目で彼女を詰った。
「え~、どうして?」