魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
Lily6 誇りを持ってお仕えします
「蓮様の顔が良い」
連休明けの学校。
挨拶もせず開口一番にそう発した私に、楓は可愛らしく首を傾げた。
「なぁに、今更。そんなの周知の事実でしょ?」
いや、そうなのだけど、そうじゃない。心の中で静かに反駁し、小さく息を吐く。
多少の騒ぎはあったものの、別荘からは昨日の朝帰宅した。
森の中で見た蓮様は全て夢だったのでは? と思ったけれど、彼の顔を見るたびに思い出す。清廉な微笑も、あどけない笑い方も。
記憶はしっかり覚えているし、何だか蓮様がいつにも増して輝いて見えた。辿り着いた結論としては、シンプルに「彼の顔が良すぎる」。
「スナイパーだと思うんだよね……こう、ぐさっとくるというか……」
「ごめん、今どのタイミングで話題変わったの?」
とんとん、と自身の胸元を叩き独りごちれば、楓が訝しむように疑問符を投げかけてきた。
再びため息を落とした私に、彼女は口端をつり上げる。
「百合もついに『推し』という概念が理解できるようになったか~。良きかな良きかな」
「推し? ああ、アイドルみたいな?」
今までそういったものとは縁遠かったけれど、確かに蓮様はアイドルと定義しても差し支えないほど容姿が良い。目の保養だ。
「推しの執事とか、役得でしかないじゃーん? 百合は蓮様強火担ってことね」
「つよびたん?」