魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
いつになくとげとげしい言い方をする彼に、もしかして、と首を傾げた。
「蓮様、怒って下さってます……?」
私に苛立っているのかなと最初は思ったけれど、何だか的を得ていない気がして。
恐る恐る問いかけると、彼の眉間の皺が多くなった。
「……そういうの、気付かなくていい」
「どうしてですか……? 嬉しいです、私のことを考えて下さったんですよね」
顔を背けた蓮様を、今度は私が覗き込む。うるさい、とあしらわれてしまった。
「とにかく、断っておいてよ」
ぶっきらぼうに言い渡され戸惑っていると、「返事は?」と急かされる。黙ったままの私を訝しんでか、蓮様が顔をこちらに向けた。
「……一応、クラスメートのお兄さんなので、なんというか……それに、私一度断ったんですけれど、今日もわざわざ学校まで来て下さって」
とか何とか言ってみるけれど、本当は夢を捨てきれないだけだ。
もごもごと俯いて喋れば、唐突に両頬を挟まれ、強制的に蓮様と目が合う。
「む、」
「へーえ……わざわざ学校まで、ね。それ、ちょっと怪しいんじゃない?」