魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
厳密にいうと異なるのだけども、わざわざいま説明することでもない。
歯切れの悪い私に、茜さんが口を尖らせた。
「ご主人様には逐一報告ってこと? やだよ。僕、絶対嫌われてるじゃん」
「え!? そんなことはないですよ! 多分、緊張されているだけじゃないかと……」
「うそ。絶対にうそ。あれは敵を討つ目だった」
そんなに剣呑な目をしていただろうか。思い返してみるも、蓮様のお顔は横からしか見えなかったので、真相は謎のままだ。
ねえ、と茜さんが言う。
「誤解のないように言っておくけど、僕ほんとうに君のセンスは買ってるからね」
先程、蓮様が仰っていたことの延長線だろう。蓮様は律義に怒って下さっていたけれど、茜さんと直接話していれば、悪気がないのはすぐに分かる。
「はい、分かっていますよ」
「……嘘じゃないから。こういうのって直感が大事なんだけど、君はビビッときたよ。ほんとに」
「ふふ。はい、大丈夫です。ありがとうございます」
意外と、というのは失礼かもしれないけれど、茜さんは実直なところもあるようだ。
何度も念押ししてくる彼に、苦笑交じりで「もう分かりましたから」と告げる。
「あっちの件は、考えてくれた?」