魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
シャッター音とフラッシュの光が、断続的に空気を揺らす。
やっぱり私は、どんな蓮様でも綺麗で素敵だと思ってしまうのだ。さっき茜さんは「華がない」と言ったけれど、その状態でも十分彼は美しかった。それが贔屓なのかどうかは正直分からない。
でも一つだけはっきりと分かるのは、自分の手で彼を着飾ったことに、言いようのない優越感を得てしまっていること。
嬉しいと思った。彼を一番綺麗に見せる術を知っているのは、自分でありたかった。
だってその証拠に、彼は今こんなにも笑って――笑って?
「あー、やっぱり君が目の前にいるとすごくいい顔をするよね、彼は」
茜さんが、しみじみと噛み締めるように述べる。
そんな言葉がうまく頭に入ってこないくらい、私の視線は蓮様に釘付けだった。
蓮様が笑っている。耐え切れず吹き出してしまったような、いつもの控えめな笑い方ではなくて。
意図的に笑って見せている。妖美に微笑む様は、天使とは言い難い。それはさながら、人を惑わす小悪魔のようだった。
「ほら。女性スタッフなんて、みんな彼に惚れちゃってるよ」