魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「雨ねえ……」
隣で楓が深々とため息をつく。彼女の視線の先には窓。梅雨のせいであまり食欲もわかないのか、先程からサラダばかりつついていた。
「雨ですわねえ……」
一方、向かいでそう追随したのは三園さんである。しかし彼女は楓とは対照的に、チキンのトマトソース煮をぱくりと頬張った。
昼休みのカフェテリアにて。私は二人の呟きに頷きつつ、じゃがいものポタージュを一口飲み込む。
楓と三園さんが――主に楓だけだけれど――鬱々としているのは天気が原因かもしれない。でも、私の気分が何となく沈んでいるのは、他に原因があった。
「それにしても、珍しいですわね。花城様が五宮様とご一緒ではないなんて」
三園さんに指摘され、「ああ、うん」と歯切れの悪い返事をしてしまう。
彼女の言う通り、普段なら蓮様と昼食をとっているのだけれど、今日は例外だ。
彼は今朝から様子がおかしかった。朝食の時も上の空で、登校中に私が声を掛けても反応は今一つ。挙句、昼は一人で過ごしたいと言われてしまった。
一体、どうしてしまったのだろう。顔色は悪くなかったし、体調に問題があるわけではなさそうだ。
「あ、そういえば『a Nake』の広告、凄かったねえ。まさか蓮様がモデルだとは思わなかったけど」
「雨ねえ……」
隣で楓が深々とため息をつく。彼女の視線の先には窓。梅雨のせいであまり食欲もわかないのか、先程からサラダばかりつついていた。
「雨ですわねえ……」
一方、向かいでそう追随したのは三園さんである。しかし彼女は楓とは対照的に、チキンのトマトソース煮をぱくりと頬張った。
昼休みのカフェテリアにて。私は二人の呟きに頷きつつ、じゃがいものポタージュを一口飲み込む。
楓と三園さんが――主に楓だけだけれど――鬱々としているのは天気が原因かもしれない。でも、私の気分が何となく沈んでいるのは、他に原因があった。
「それにしても、珍しいですわね。花城様が五宮様とご一緒ではないなんて」
三園さんに指摘され、「ああ、うん」と歯切れの悪い返事をしてしまう。
彼女の言う通り、普段なら蓮様と昼食をとっているのだけれど、今日は例外だ。
彼は今朝から様子がおかしかった。朝食の時も上の空で、登校中に私が声を掛けても反応は今一つ。挙句、昼は一人で過ごしたいと言われてしまった。
一体、どうしてしまったのだろう。顔色は悪くなかったし、体調に問題があるわけではなさそうだ。
「あ、そういえば『a Nake』の広告、凄かったねえ。まさか蓮様がモデルだとは思わなかったけど」