魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「蓮、話がある」
そう言って僕を呼び出したのは、他でもなく椿だった。
この時に限っては神妙な面持ちで切り出されたから、よほど大事なことなんだろう。身構えた僕に、椿は告げた。
「桜のこと、どう思ってるの?」
「……どうって?」
「ちゃんと好きなのかって、聞いてる」
「は、」
一体こいつは何を言っているのだろうと思った。桜を好きなのは、僕じゃなくてお前だ。
「桜があんなに蓮のためにしてくれてるのに、どうして冷たくするの。大切にしなよ。優しくしなよ。それがせめてものお返しってもんでしょ」
つらつらと続く言葉。見当違いもいいところだ。
椿が冷静じゃないのは、桜のことだから。苛立ちながらも、心の奥底では諦めをつけていた。
「桜が僕のこと好きって、本当に思ってるの?」
だとしたら、お前は何も分かっていない。九井桜という人間を、何も。
「僕だって、自分に向けられた好意くらい、本物か偽物か分かる。偽物の気持ちなんていらない。僕もあげるつもりはない。そんなもののために渡す見返りなんて、この先、一生ないよ」
「蓮、話がある」
そう言って僕を呼び出したのは、他でもなく椿だった。
この時に限っては神妙な面持ちで切り出されたから、よほど大事なことなんだろう。身構えた僕に、椿は告げた。
「桜のこと、どう思ってるの?」
「……どうって?」
「ちゃんと好きなのかって、聞いてる」
「は、」
一体こいつは何を言っているのだろうと思った。桜を好きなのは、僕じゃなくてお前だ。
「桜があんなに蓮のためにしてくれてるのに、どうして冷たくするの。大切にしなよ。優しくしなよ。それがせめてものお返しってもんでしょ」
つらつらと続く言葉。見当違いもいいところだ。
椿が冷静じゃないのは、桜のことだから。苛立ちながらも、心の奥底では諦めをつけていた。
「桜が僕のこと好きって、本当に思ってるの?」
だとしたら、お前は何も分かっていない。九井桜という人間を、何も。
「僕だって、自分に向けられた好意くらい、本物か偽物か分かる。偽物の気持ちなんていらない。僕もあげるつもりはない。そんなもののために渡す見返りなんて、この先、一生ないよ」