魔法をかけて、僕のシークレット・リリー


突然そう言われても、私はどうすればいいのだろう。
正直に首を傾げれば、彼が続ける。


「僕は桜との婚約を解消した。五宮家に、君を迎えたいと思ってる。それを父に了承してもらうために、君に担ってもらいたいことがあるんだ」


彼の言葉に、一切の躊躇はなかった。そしてそのまま、彼は告げる。


「僕は父の跡を継ぐ。そして、モデルとしても活動しようと思ってる。君には、僕のマネージャーになって欲しい」

「え――」

「茜さんと共同でプロジェクトを立ち上げることも決まってる。君が必要なんだ。それが、僕の出した結論」


情報量の多さに、一瞬めまいがした。
蓮様がモデル? 私がマネージャー? それも、茜さんと? 話は大規模だけれど、それだけに彼の真剣さが身に染みる。


「……それは、本当に蓮様のやりたいことですか?」


深呼吸をして、慎重に質問を投げる。


「どういう意味?」

「もし、もし仮に私のことを思って取り計らって下さったのなら、もちろん嬉しいですけれど……でも、それは蓮様の希望とは言えないのではないかと、思いまして」


家柄にしてはつり合うわけもない私を迎え入れるのには、そうするしかなかったのだろうか。そうだったとしたら、彼の重荷になっているだけのようで、私はやるせない。


「……忘れたの?」

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