魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
自分の手で変わっていく様はもちろんだけれど、鏡越しの自分を見て驚いたり、恍惚とため息をついたり、そんな人たちの表情を、もっと沢山見てみたくなった。
そしてそれはもちろん、目の前にいる人のことだって。
「蓮様。私を、魔法使いにして下さいますか?」
彼は私の手を握り直して、緩やかに微笑む。
「もちろん。喜んで」
答えた彼がそのまま跪いた。驚いて固まる私に、蓮様は下から真っ直ぐ視線を送ってくる。
「百合」
「えっ、は、はい!」
繋がれた左手が熱い。畏まって呼ばれてしまうと、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「僕は、君が好き。一人の人間としても、女の子としても」
私を見つめる瞳が、慈しむように笑う。もうそれだけで、今この地球上で一番幸せである気がしてしまうのだから、とんでもない人だ。
これは一体、何度目の一目惚れだろう。彼はあまりにも綺麗で純真で、眩しい。
「私も、蓮様をお慕いしております。もうずっと、……きっと最初から、あなたが好きです。大好きです」