魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



「あ~~~青も捨てがたいですね、蓮様の瞳の色と合っていてすごく素敵ですし……でもやっぱり今日はこちらのドレスにいたしましょう」


数着のドレスを両手に抱えながら、最終的に淡いイエローのドレスを選択する。ウィッグは以前と同じブロンドのロングだ。


「蓮様、メイクの前に着替えていただいてもよろしいですか?」

「え、ああ……」


私の彼への「要望」は、意外にもすんなりと承諾された。
別にそれが目的で声を掛けたわけではなかったのだけれど、こんな逸材が目の前にいて、私もうずうずしていたのだ。

退出しようとした私に、蓮様は「別に出なくていいよ」と言い渡す。


「後ろ向いてて。女子の着替えじゃないし」

「えっ!? ですが……」

「呼ぶ方がめんどくさい。すぐ終わるから」


彼がそう言うのなら、従うべきだろう。私は頷いて、くるりと背を向けた。

衣擦れの音が数十秒。もういいよ、と彼に促されてから振り返る。


「はああ……すっごくお似合いです」


タンポポから生まれた妖精かと思った――――!
ウィッグを被った彼は、完全にお嬢様だ。体のラインが細いというのもそうだけれど、とにかくバランスがいい。


「……どうも」

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