魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
至極当然の質問をされ、私は「はい、もちろん」と首を縦に振った。
「変ではありませんよ。私はただ、綺麗だと思ったからこうしているんです」
綺麗に性別は関係ないのだと、彼に出会って本当の意味で分かった気がする。
ウィッグの髪をひとまとめに結っていたところで、蓮様が「何で?」と目を伏せた。
「僕は男なんだよ。ドレスなんか着て、化粧して……おかしいでしょ」
彼の瞳が揺れる。
「気持ち悪いでしょ、こんな趣味」
「蓮様……」
一体、何をそんなに恐れているの。あなたは何に悲しんでいるの。
鷲掴みにされたように一瞬で心を揺さぶられて、一度見たら忘れられないその眼差し。見れば見るほど美しくて引き込まれそうだ。それなのにどこか寂しげで、胸の奥が締め付けられるような切なさを秘めている。
酷く美しくて儚いそれを、壊れてしまわないように包んでおきたいと思った。
「誰が、そんなことを言ったのですか」
そっと彼の肩に手を置く。僅かに震えた体は、耐え忍ぶように縮こまった。
「いま、私がそう言いましたか? 言っていませんよ。誰も、蓮様のことをそのようには言っていません」
「それは誰も知らないからだよ。知ったらきっと、」
「そんな人は、私が一人残らず許しません!」