魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
――説明するより直接見せた方が早い。
ということで放課後、私は楓と共に校門で人を待っていた。
「ねえ、執事ってどういうこと? 百合が? 百合が執事やってるの?」
先程かいつまんで話しても信じてもらえなかったので、こうして彼女を連れてきた。
せっつくように問うてくる彼女を押しとどめ、「来たよ」と私は校舎の方に視線を投げる。
「蓮様!」
こちらへ向かってくる人影に声を上げれば、隣で楓が「うっそぉ」と呟いた。
「ま――待って。百合、まさかだけど五宮蓮様!? あの御曹司の執事!? 冗談でしょ!?」
ひそひそ声ではあるものの、興奮冷めやらぬ様子の彼女。
無理もない。私や楓と比べるのもおこがましいくらい、五宮家は立派な家柄なのだ。
蓮様が近付いてくるにつれ、その横にいる人の顔もよく見える。見覚えのあるそれに、思わず「あ」と零してしまった。
「あれ、君……今朝の」
向こうも私に気が付いたらしい。会釈をすれば、人当たりのいい笑顔が返ってきた。
「なんだ。蓮、やっぱり知り合いだったんだ」
そう言う彼に、蓮様は不機嫌そうだ。私は恐る恐る口を開いた。
「ええと……私は蓮様の専属執――むっ、」