魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「蓮様、失礼致します」
十数分後。私は蓮様の部屋のドアをノックした。
彼には「いちいち返事をするのが面倒だから、勝手に入ってきて」と以前言われたことがある。
ドアを開ければ、蓮様は机に向かっているところだ。こちらに目もくれず、淡々とペンを走らせている。
しかしサービスワゴンを押しながら入ってきた私が視界に入ったのか、手を止めて顔を上げた。
「大変お待たせ致しました。お茶のご用意ができましたので、もしよろしければ」
私がそう伝えると、蓮様は呆然とこちらを眺めたまま呟く。
「……何人分?」
「もちろん、蓮様お一人の分ですよ」
「いや……やりすぎだって」
彼の言う通り、ワゴンにはストレートティーだけでなく、ミルクと砂糖、それから先程カットした果物をのせていた。ホットの気分じゃない、と言われてもいいように、氷も用意してある。
「ええ。ですが、私は蓮様のお好きなものがまだ分からないもので」
「だからってこんな……」
「蓮様」
御曹司なのに、施され慣れていないのだろうか。それとも、やはり干渉されたくないのだろうか。
ううん。どちらにせよ、私はこの人の一番にならなければいけない。
「私はあなたの専属執事です! あなたのことを一番近くで、一番大切にしたいんです」
「蓮様、失礼致します」
十数分後。私は蓮様の部屋のドアをノックした。
彼には「いちいち返事をするのが面倒だから、勝手に入ってきて」と以前言われたことがある。
ドアを開ければ、蓮様は机に向かっているところだ。こちらに目もくれず、淡々とペンを走らせている。
しかしサービスワゴンを押しながら入ってきた私が視界に入ったのか、手を止めて顔を上げた。
「大変お待たせ致しました。お茶のご用意ができましたので、もしよろしければ」
私がそう伝えると、蓮様は呆然とこちらを眺めたまま呟く。
「……何人分?」
「もちろん、蓮様お一人の分ですよ」
「いや……やりすぎだって」
彼の言う通り、ワゴンにはストレートティーだけでなく、ミルクと砂糖、それから先程カットした果物をのせていた。ホットの気分じゃない、と言われてもいいように、氷も用意してある。
「ええ。ですが、私は蓮様のお好きなものがまだ分からないもので」
「だからってこんな……」
「蓮様」
御曹司なのに、施され慣れていないのだろうか。それとも、やはり干渉されたくないのだろうか。
ううん。どちらにせよ、私はこの人の一番にならなければいけない。
「私はあなたの専属執事です! あなたのことを一番近くで、一番大切にしたいんです」