魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「もう、本っ当にびっくりしたんだからね! しかも私のこと置いて行っちゃうし!」
翌日のお昼休み。
天気がいいからということで、中庭のベンチで昼食をとることにした。
ひどいひどい、と先程から文句をぶつけてくる楓に、私は眉尻を下げる。
「ごめんって。昨日はちょっと、色々想定外で……」
蓮様がご友人と一緒にいらっしゃるとは思っていなかったし、私の存在を隠しておきたいと仰るのも突発的だった。
楓は「まあいいけどさぁ」と零した次の瞬間には、小さい口を開けてサンドイッチを頬張っていた。切り替えが早いのは、彼女のいいところだと思う。
「百合がいなくなった後、あの椿様と二人でお話できたしね~! むしろありがとうって感じ」
「椿様って……」
昨日蓮様の隣にいた人、だよね?
彼の顔を必死に思い出していると、楓が呆れたように話し出す。
「その顔は全然分かってないね? まあ百合の社交界への興味のなさは昔からだから、幼馴染の楓ちゃんが詳しく説明してあげるけど」
「あ、ありがとう」
よろしい、とでも言いたげに頷いた彼女は、嬉々として人差し指を立てた。
「いいこと? 七重椿様は、蓮様と唯一対等にお話できるスーパー御曹司ですのよ!」
「もう、本っ当にびっくりしたんだからね! しかも私のこと置いて行っちゃうし!」
翌日のお昼休み。
天気がいいからということで、中庭のベンチで昼食をとることにした。
ひどいひどい、と先程から文句をぶつけてくる楓に、私は眉尻を下げる。
「ごめんって。昨日はちょっと、色々想定外で……」
蓮様がご友人と一緒にいらっしゃるとは思っていなかったし、私の存在を隠しておきたいと仰るのも突発的だった。
楓は「まあいいけどさぁ」と零した次の瞬間には、小さい口を開けてサンドイッチを頬張っていた。切り替えが早いのは、彼女のいいところだと思う。
「百合がいなくなった後、あの椿様と二人でお話できたしね~! むしろありがとうって感じ」
「椿様って……」
昨日蓮様の隣にいた人、だよね?
彼の顔を必死に思い出していると、楓が呆れたように話し出す。
「その顔は全然分かってないね? まあ百合の社交界への興味のなさは昔からだから、幼馴染の楓ちゃんが詳しく説明してあげるけど」
「あ、ありがとう」
よろしい、とでも言いたげに頷いた彼女は、嬉々として人差し指を立てた。
「いいこと? 七重椿様は、蓮様と唯一対等にお話できるスーパー御曹司ですのよ!」