魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「ご自分の立場を分かっておいでで?」
目の前で腕を組んで分かりやすく威嚇してくる彼女に、カフェテリアの時のような謙虚さはなかった。
あの時だって、謙虚と呼んでいいかは定かではない。楓がいたから私に強く出られなかっただけだろう。
放課後の中庭。
渡り廊下を急いでいたら、昼休みに絡んできた女子生徒が、友人を連れて私の元へ現れた。
彼女たちが道を塞ぐから仕方なく相手をしてあげるけれど、本当は顔も合わせたくない。
ここだと通る人の邪魔になるから、と中庭へ促したのは私だし、人の気持ちを分からない、気遣えないところはすごく不快だ。
「私、急いでいるので、お話があるなら手短にお願いします」
「まあ。そうやってお逃げになるの?」
「人を待たせているんです」
逃げるわけない。あんたたちなんか、怖くもなんともないんだから。
ただ一つ、私がいま気にしているのは、蓮様をお待たせしてしまうのではないか、ということだった。
「じゃあ言わせてもらうわ。花城さん、あなたのせいで八色様の品格が下がるの。図々しく付きまとうのはおやめになったら?」
「楓と私は幼馴染です。昔から仲がいいだけです。それに、そんな程度で楓の品格は下がりません」
「ご自分の立場を分かっておいでで?」
目の前で腕を組んで分かりやすく威嚇してくる彼女に、カフェテリアの時のような謙虚さはなかった。
あの時だって、謙虚と呼んでいいかは定かではない。楓がいたから私に強く出られなかっただけだろう。
放課後の中庭。
渡り廊下を急いでいたら、昼休みに絡んできた女子生徒が、友人を連れて私の元へ現れた。
彼女たちが道を塞ぐから仕方なく相手をしてあげるけれど、本当は顔も合わせたくない。
ここだと通る人の邪魔になるから、と中庭へ促したのは私だし、人の気持ちを分からない、気遣えないところはすごく不快だ。
「私、急いでいるので、お話があるなら手短にお願いします」
「まあ。そうやってお逃げになるの?」
「人を待たせているんです」
逃げるわけない。あんたたちなんか、怖くもなんともないんだから。
ただ一つ、私がいま気にしているのは、蓮様をお待たせしてしまうのではないか、ということだった。
「じゃあ言わせてもらうわ。花城さん、あなたのせいで八色様の品格が下がるの。図々しく付きまとうのはおやめになったら?」
「楓と私は幼馴染です。昔から仲がいいだけです。それに、そんな程度で楓の品格は下がりません」