魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
環境が変わるごとに、こうして過激派から攻撃されるのが恒例行事。
だから春は少しだけ憂鬱だけれど、もはや作業と化した。こちらが堂々としていれば、向こうはいつか諦めてくれる。
「八色様はお優しいからあなたには直接言わないんでしょうけれど、私たちがこうして忠告して差し上げてるのよ?」
「それはご親切にどうも、ありがとうございます」
一ミリも気持ちのこもっていない感謝を述べれば、それが嫌味だと伝わったのか、目の前の顔が歪んだ。
「何なの、ふてぶてしいわね……! あなたが下品だと言っているのが分からないの?」
「こうして大勢で人をいたぶる方が下品ではありませんか?」
「あなたねぇ……!」
下品、かあ。それは初めて言われたな。心の中で、ひっそりと反芻する。
基本的な教養やマナーは知っていた。でも、ルールに縛られるのは自分の性に合わなかった。
私よりお金持ちで凄い人なんて沢山いるし、その逆だってそう。普通でいようとすればこうして詰られるし、背筋を正したってお高くとまっていると揶揄される。
私は常に、「花城百合」という肩書きから、解放されたがっていた。
「八色様も八色様だわ。あなたみたいな人と一緒にいるなんて」