魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
ため息交じりにそう言われた瞬間、頭にかっと血が上った。
「楓のことを悪く言わないで。あなたたちがそうやって言うから、ますます楓の品格が下がるんじゃないの? そんなことも分からないの?」
「はあ……!?」
相手も史上最大にむかついている顔だった。
彼女の腕が伸びてきて、私の肩を掴む。そのまま後ろへ突き飛ばされ、数歩よろめいた。
「――あ、」
足の裏に固い感覚がある。大きめの石でも踏んだのかもしれない。
予期せぬ障害物で完全にバランスを崩し、足がもつれた。
ばしゃん、と盛大に水が跳ねた音がして、痛みと共に目を開ける。
全身が冷たく濡れ、目の前には呆然とこちらを見下ろす彼女たちの姿があった。
「……わ、私はそんなに強く押してないわよ! あんたが勝手に落ちたんだから!」
そうよそうよ、被害者ぶって、と声を上げる女子生徒たち。
ごもっともだけれど、そんなことを言うとますます悪者らしくなってしまうと思うよ。と、これは余計なお世話だろうか。
普段憩いの場として親しまれている噴水も、今に限っては凶器でしかない。
じんじんとした、痛みとも冷たさとも取れる感覚が、下半身を支配していた。
「何してるの?」