魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
自然治癒とは素晴らしいもので、翌日にはすっかり起き上がれるようになっていた。
身支度を整え、蓮様の部屋へ向かう。
ノックの後に開けた扉の先。そこにあったのは読書に勤しむ蓮様ではなく、バルコニーに佇む彼の姿だ。
「蓮様……どうされましたか」
「ああ、君か。おはよう」
「おはようございます!」
思わず挨拶をすっ飛ばしてしまった私に、蓮様は特に気にするわけでもなく振り返る。
よくよく考えると、彼から朝の挨拶をしてもらうのはこれが初めてだった。
「もしかして、水やりを……?」
バルコニーに置いてあるハスの花。それを黙って見下ろす彼に、私は恐る恐る問いかける。
「置いた本人が寝込んでたんだから、僕があげるしかないでしょ」
「も――申し訳ありません!」
勢い良く頭を下げれば、「嘘だよ」と彼が言ったので顔を上げた。
「もう大丈夫なの?」
「はい! この通り、ピンピンしてます!」
「それは何より」
鞄を持った蓮様は、じゃあ行こうか、と私を促す。
頷いて彼の後に続き、扉を閉めた。
『僕に魔法をかけて』
自然治癒とは素晴らしいもので、翌日にはすっかり起き上がれるようになっていた。
身支度を整え、蓮様の部屋へ向かう。
ノックの後に開けた扉の先。そこにあったのは読書に勤しむ蓮様ではなく、バルコニーに佇む彼の姿だ。
「蓮様……どうされましたか」
「ああ、君か。おはよう」
「おはようございます!」
思わず挨拶をすっ飛ばしてしまった私に、蓮様は特に気にするわけでもなく振り返る。
よくよく考えると、彼から朝の挨拶をしてもらうのはこれが初めてだった。
「もしかして、水やりを……?」
バルコニーに置いてあるハスの花。それを黙って見下ろす彼に、私は恐る恐る問いかける。
「置いた本人が寝込んでたんだから、僕があげるしかないでしょ」
「も――申し訳ありません!」
勢い良く頭を下げれば、「嘘だよ」と彼が言ったので顔を上げた。
「もう大丈夫なの?」
「はい! この通り、ピンピンしてます!」
「それは何より」
鞄を持った蓮様は、じゃあ行こうか、と私を促す。
頷いて彼の後に続き、扉を閉めた。
『僕に魔法をかけて』