【短】ライフレター
病室の壁に掛けられたカレンダーを一瞬見た後、愛乃の右手を両手で包み込んだ。


白くて細い指……オレへ楽しい手紙を書いたり、デートの度にオレの手をしっかり握りしめてくれたこの手は、もう2ヶ月も何も出来ずにただ体の横に横たわっているだけだ。


「雪が降ったら雪ダルマ作る言ってたのに………目が覚めなきゃ何も出来ねぇじゃん」


半ば怒りを含ませながら言っても、お前は目を開けてはくれない。


それでもちょっと……ほんのちょっとだけ、酸素マスクの下の唇が上がった。


「バーーカ……怒られてるのに笑ってんじゃねぇよ、バカ愛乃」
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