お姫様とお嬢様
俺もご飯を作ってくれる寧音さんにちょっとだけ母親の面影をダブらせたりする。



母さんが生きてたら毎年素麺も食えたんだろうな…。



「ねぇ舜太、旅行行く?」

「旅行?」

「毎年恒例なんだけど夏に離島に行くの。何か今年は人集まんなくてさ~…。やっぱりいっぱいいないとつまんないじゃん?」

「でも俺仕事あるから行けるかどうかわわんわうぃ。」

「食ってから喋れ!!ってかネギも食えっつーの!!」

「俺生ネギ嫌い~…。」



容赦なく怒ってくれる唯一の人…。



ありがたいよな、寧音さんって。



「何で舜太がいんの!?ってかここ愛芽ん家でそれ愛芽ん家の素麺!!何で舜太が食ってんのさ!!」

「別にいいだろ素麺くらい…。ってか見合いしてきた。」

「あっそ、婚約おめでとうさようなら!!」



逃げられた…。



愛芽っていつも逃げるよな…。



話しを聞きたくない証拠…。



「「わかりやすっ…。」」

「やっぱりあれって癖?」

「うん、愛芽は昔からすぐ逃げる。」



単純だな愛芽チャン。



< 203 / 763 >

この作品をシェア

pagetop