秘書のヒショヒショ話
嘘じゃないって。今夜、舞踏会でさ、あいつらまたアタシだけをのけ者にして、舞踏会行きやがったのさ。私はこんなザマさ。灰かぶり姫だなんて名前つけやがってさ。

へは、お似合いじゃないか。

お似合い?お似合いなもんか。世界で灰をかぶるのが似合うのは私とドブネズミくらいなもんさ。

へは、自分で言ってりゃ世話ねぇな。

いいから、それでほら、このドレス、このドレスが何よりの証拠さ。

どっからクスねてきた。落ちたなぁ。

盗んでないわ!魔法使いのばばぁにな、変えてもらったんだ。

ファンタジーかよ。

ファンタジーなんだよ。

言ってらぁ。

ねぇ、カボチャをおくれよ。分けておくれ。

悪いこた言わねぇ。なぁ?灰をかぶっとくれよ。

何を言い出すんだぃ。

この町は、死の町だ。ご覧の通りな。同調しなきゃ、殺されるのさ。あんたはな、一生憎まれて生きていくンだ。そういう運命なんだよ。残念だったなぁ。

そうなの。

そうなんでゲスよ。世界は今ンとこ、そういった風に出来てやがる。逆らうことは、出来やしない。神さまがされてんだからなぁ。

カボチャをおくれと言ってるんだ。

お前のために、私はな、いわばいけずをしてるわけだ。

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