マザー症候群

 「先輩ってこんなに酒癖悪かったですか」
 と、井本が波斗に話し掛けた。
 「俺もこんなお袋初めてですよ」
 波斗、驚いた表情で。
 「余程、波斗さんが可愛いんですよ。だから、その反動も凄いんですよ」
 「そうですかね」
 「おい、井本。波斗が可愛いだって。あんぽんたん。どこが可愛いいの。親の言う事きかん、馬鹿たれ息子が・・・」
 言いたい事を言うだけ言うと、こっくりこっくりと美波は居眠りを。
 「グーグーグー」
 美波がテーブルに両肘つき、本格的にいびきをかいて眠り始めた。
 「スースースー。むにゃむにゃ」
 「波斗。一生のお願いを聞いて。井本ちゃんと結婚して安心させて。お願いだから。むにゃむにゃむにゃ」
 暫くすると、美波が寝言らしきものを大きな声で喋り始めた。


 
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