マザー症候群
美波が予め井本に伝えていた筋書きとは。
美波、酔い潰れる。波斗と井本二人きりになる。井本、波斗を酒に酔わせる。その後、井本と波斗、男と女の関係になる。そして、結婚へ。と、いうもの。
井本は美波の筋書きを聞いたとき、
無理がある。と、思った。第一、井本自身のプライドを考慮していない。
酒に酔わせて関係を持ち、波斗に結婚を迫る。
万一、結婚出来たとしても、これで結婚生活がうまく行くとは思えない。
卑怯な手を遣ってではなく、正々堂々と。これが、井本の考え方。
井本は波斗のいる部屋に戻った。
「どうも、ご迷惑をお掛けしてすみません。で、お袋は・・・」
と、空いたグラスを手に持ちながを波斗。
「よく眠っています。先輩から泊まって行くようにと言われてますから、そうします。もし、良かったら二人で少し飲みませんか」
「いいですよ」
波斗が、母親の面倒をよく看る井本に感謝しているのか快く応じた。