マザー症候群
「これで万策尽きたか」
美波が心の中で呟いた。
(波斗はあの女に奪われる)
(ああ、気が狂いそう・・・)
美波は井本がいなければ大声を上げて泣き叫びたい心境だった。
井本が帰った。
美波はその後、何もする気が起こらず夢遊病者のように。
失意のうちに時が流れてゆく。。
美波、気持ちが少し楽に。何故?と思ったら、目の前に焼酎の瓶があった。
知らず知らずのうちに酒を飲んでいたのだ。
「癒してくれたのは、お前か」
「お前だけだよ。優しいのは」
「ありがとうよ」
美波が、焼酎の瓶に向かって礼を言った。