マザー症候群
会社に行ってからも、美波は水を飲み、トイレに走る事たびたび。
仕事に成り出したのは、昼休みが終わってから。
それからも、大あくびを連発。
美波は逃げるようにトイレへ。そこで井本と鉢合わせをした。
「先輩。大丈夫ですか」
美波の顔を覗き込むように井本。
「あっ、井本ちゃん。大丈夫。大丈夫」
覗き込んだ時、井本の鼻が美波の口元近くに。
「やばい。先輩。酒臭い。昨日の酒がまだ残っていますよ」
「そう。まだ、残っている。だから、トイレに逃げて来たのよ」
「ちょっと、待ってくださいね」
井本が走ってトイレを出て行った。
すぐに、井本がトイレに戻って来た。
「はい、お水。これをしこたま飲んで下さい」
井本が500CCのペットボトル二本を美波に手渡した。
「ありがとう。私もずっと水を飲んでいる所なの。これ、折角だから頂くわね」
「どうぞ。どうぞ」
「あっ、そうそう。先日はいろいろとお世話になってどうもありがとう」
美波が井本に頭を下げた。