マザー症候群

 会社に行ってからも、美波は水を飲み、トイレに走る事たびたび。
 仕事に成り出したのは、昼休みが終わってから。
 それからも、大あくびを連発。
 美波は逃げるようにトイレへ。そこで井本と鉢合わせをした。
 「先輩。大丈夫ですか」
 美波の顔を覗き込むように井本。
 「あっ、井本ちゃん。大丈夫。大丈夫」
 覗き込んだ時、井本の鼻が美波の口元近くに。
 「やばい。先輩。酒臭い。昨日の酒がまだ残っていますよ」
 「そう。まだ、残っている。だから、トイレに逃げて来たのよ」
 「ちょっと、待ってくださいね」
 井本が走ってトイレを出て行った。
 すぐに、井本がトイレに戻って来た。
 「はい、お水。これをしこたま飲んで下さい」
 井本が500CCのペットボトル二本を美波に手渡した。
「ありがとう。私もずっと水を飲んでいる所なの。これ、折角だから頂くわね」
 「どうぞ。どうぞ」
 「あっ、そうそう。先日はいろいろとお世話になってどうもありがとう」
 美波が井本に頭を下げた。


 
< 117 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop