マザー症候群

 仕事が終わった。
 美波、少し心斎橋をぶらぶらしてから、いつもの場所へ。
 カウンター席に座っていつものようにワインを飲む美波。
 もう酒なんか金輪際飲むものか。と、美波は今日の朝まで、そう思っていた。 が、嘘のようにまたおいしく飲めるから、酒とは不思議なものだ。。
 今日のワインは甘く芳醇でいつになくおいしい。
 美波がワインを心から楽しんでいると、そこへ遊が。
 「黒ビール」
 游が、いつものように黒ビールを注文した。
 「あああ。うめえー」
 ジョッキの半分ほどを一気に飲み干して、游が声を上げた。
 「例の件。うまく行ったの」
 と、さりげなく美波。
 「いきやした」
 「そう」
 「部長の言う通り。待ち受け画面にあいつの顔を」
 「彼女。どう反応したの」
 「大喜びでさ」
 「良かったわね」
 美波が遊の横顔に視線を這わせた。

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