マザー症候群

 「お袋。そんな飲み方をすると、体に悪いよ」
 波斗が母親の体を気遣った。
 「うるさいね。お前からはつべこべ言われたくないね」
 「頼むよ。機嫌を直してくれよ」
 「部屋を片付け終わったら鍵を置いて行くんだよ」
 「えっ、部屋を片付ける。先日、全部片付けたよ」
 波斗が腑に落ちないという顔をした。
 「机も、本箱も、ベッドも、ギターだって残ってるじゃないか。綺麗さっぱりと部屋を空にしておくれ」
 「わかったよ」
 波斗、美波の意思がわかりがっくりとうな垂れた。
 「用件はそれだけかい。それじゃ、例のショー。やってもらおうじゃないか」
 「例のショー?」
 波斗が首を傾げた。
 「例の破廉恥なショーだよ」
 美波が憎々しげに二人に言った。



 
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