マザー症候群

「お前なんか。私の子じゃない。お前なんか。今日からは、赤の他人だ」
 と、美波が波斗の写真に向かって辛辣な言葉を投げ掛けた。
 固い決意の分だけ辛さも大きい。
 美波の心に悲しさがひしひしと込み上げて来た。
 美波が両手で顔を隠した。
 「ううう・・・うう」
 美波が激しく嗚咽した。
 「うう・・・う」
 「う・・・うう」
 美波はいつまでも嗚咽し、苦しみの苦さを舐めていた。



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