マザー症候群
司会者が開式を宣言。
「これより沢家、榎本家の結婚式を執り行います」
続いて、誓いの言葉、指輪の交換、婚姻届けに署名捺印、婚姻成立の宣言・祝辞、誓いのキス。
「これを持ちましてご両家の婚儀が無事整いました。引き続き披露宴に移りたいと存じます」
と、司会者の移行宣言。
披露宴に入るまで式が順調に運んだが、その間、新郎と新婦の間に気まずい雰囲気が。
ことの発端は新郎、新婦の入場での事。
二人は颯爽と会場に入場したまでは良かったが。
波斗が美波を捜してきょろきょろとする余り道瑠の靴を踏んづけてしまったから大変。
「痛っ!」
道瑠が思わず大きな声を上げた。
「シー。我慢をしろ」
と、何も無かったように波斗。
(この野郎!ふざけやがって)
と、心の中で波斗を罵る道瑠。
それからと言うもの、道瑠の機嫌は最悪の状態に。
誓いの言葉は無事に済んだが、第二幕が指輪の交換に来た。
新郎が指輪を持ったまま、目がきょろきょろと彷徨いだした。