マザー症候群
 
 「お袋の天敵っすね」
 游が道瑠の事を面白い表現で言った。
 「それにあの化粧。けばいったら、ありゃしない。服装の趣味もね。悪いのよ。超ミニスカートはいて。10代なら許せるわ。足が自慢みたいだけど。そんなに若くもないくせに。私はあの女の何もかもが嫌いなの。そんな女を嫁に認められる。冗談じゃないわ」
 美波、あの女の事となると、饒舌も饒舌。
 話が止まらない。
 「お袋と息子さんの彼女。相性がよくないっすね」
 「相性?最悪ね。あの女だけじゃないわ。息子だって幻滅よ。裏切られたわ。私が認めない。と、言っている女と結婚したいのなら勝手にすればいいのよ。その変わり私だって勝手にやらせてもらうわ」
 相当頭に来ているのだろうか、美波の語気が荒くなる。
 「それで、結婚式をすっぽかしたという訳ですか」
 「そうよ」
 「問題はないっすか」
 「問題。あるでしょうね。それは。でも、いいのよ」
 美波、問題があるのは百も承知。
 「これから、どうするつもりっすか」
 游が心配そうな顔をして美波に尋ねた。


 
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