マザー症候群
モデル良し。
背景良し。
天気良し。
游は、まるで一流カメラマンになったかのようにカメラのシャッターを押した。
旅行客の目が。目が。目が。目が。
視線が熱く突き刺さる。
二人は平気も平気。何もかも忘れて、夢中また熱中。
美波が大胆にポーズをとり、游がシャッターを押しまくった。
結婚式のことも、波斗のことも、あの女ことも。美波の頭から綺麗さっぱり吹っ飛んでいた。
撮影も一段落して。
「次はどこにしやす」
と、游。
「う~ん。そうね。石庭が見たいわ」
と、美波。
「いいっすね」
と、にっこり笑顔の遊。
話が決まって、二人は嵐山から京福電鉄で龍安寺に行く事になった。