マザー症候群
道瑠は、関空の到着ゲートで波斗を今か今かと待っていた。
ハワイからの便は、暫く前に関空に到着していた。
手続きを済ませ、波斗が到着ゲートに現れるのも、もう間近。
(波斗、ごめんやで)
(波斗、ごめんやで)
(波斗、ごめんやで)
道瑠は、心の中で波斗に許しを必死で願い求めていた。
ハワイからの乗客が到着ゲートに現れ始めた。一人目。二人目。三人目・・・。ひと塊の群衆の中に波斗の姿があった。
道瑠は波斗を目ざとく見つけた。
「波斗」
道瑠が波斗の名を大きな声で呼んだ。
「波斗ー」
波斗がその声に気づいた。そして、波斗の視線が道瑠を捉えた。
「道瑠。迎えに来てくれたのか」
波斗が道瑠の所へ走って行った。
二人はしっかりと抱き合った。