マザー症候群

 「ごめんやで。ごめんやで。ごめんやで。うちが悪かってん。うっううう」
 道瑠はぽろぽろと大粒の涙を流して泣きじゃくっている。
 「俺の方こそ。お前にあんな惨めな思いをさせてしまって。申し訳ない」
 波斗が、泣きべそを掻いている道瑠の顔を見て謝った。
 「うううん。悪いのはうちや。波斗はいっこも悪い事あれへん。うちや。うちが悪かってん。親父に怒られて始めて気が付いてん。うちが馬鹿やった」
 道瑠がオーバーに頭を下げた。
 「お父さんが」
 「そや、親父や。親父は波斗をほんまの息子みたいに思とって。波斗みたいな根性のある男逃がしたら、もう二度と捕まえられへんって言われてん。うちもそう思う。波斗、うちを許してくれる」
 道瑠が泣きながら謝った。
 「もちろん。俺かって悪かったし」
 波斗も同様に謝った。
 「ほんま。うち、めっちゃ嬉しいわ」
 二人はしっかりと抱き合った。
 それから、二人は話し合って自宅に帰ってくつろぐ事になった。


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