マザー症候群
先に、上野が梯子を持って現れた。
「ありがとう。梯子はトイレの前に置いてもらえる」
「山根さんが上るつもりですか」
上野が驚いた顔をした。
「もちろん」
「さすが、マルサと言われているだけの事はありますね」
上野が山根の顔を見て納得の表情をした。
そこへ、総務部長の水沢が現れた。
「いったいどうしたんだね」
水沢が山根に質問をした。
「部長。実は・・・」
山根は水沢に今までの経緯をかいつまんで話した。
「垂れ込みは真実だったのか。沢君が。到底信じられない」
水沢は、とても信じられないという顔をした。
「部長、それでは実力行使を行いますので。いいでしょうか」
「すまんが、頼む」
水沢が了解するのを見て、山根が階段を上り出した。
山根が梯子を一段一段登り扉の上へ。
扉の上から顔を出して、山根が下を見下ろした。