マザー症候群
 
 水沢と上野は、中の光景を見て驚いた。
 沢がトイレに蹲っていたから。
 「沢君、大丈夫か」
 水沢が沢に声を掛けた。
 「はい。大、丈、夫、です」
 沢が弱弱しく頷いた。
 「沢君、立ち上がれるか」
 「はい」
 沢がトイレから出て来た。
 山根が水沢の耳元でぼそぼそと呟いた。
 紅茶ボトルにアルコールが入っているなど、アル中の証拠を掻い摘んで話している様子。
 「応接室まで歩けるか」
 水沢が沢に尋ねた。
 「詳しくはそこで聞こう」
 「わかりました」
 水沢と沢、その後から山根が19階の応接室に向かった。


< 203 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop