マザー症候群
水沢と上野は、中の光景を見て驚いた。
沢がトイレに蹲っていたから。
「沢君、大丈夫か」
水沢が沢に声を掛けた。
「はい。大、丈、夫、です」
沢が弱弱しく頷いた。
「沢君、立ち上がれるか」
「はい」
沢がトイレから出て来た。
山根が水沢の耳元でぼそぼそと呟いた。
紅茶ボトルにアルコールが入っているなど、アル中の証拠を掻い摘んで話している様子。
「応接室まで歩けるか」
水沢が沢に尋ねた。
「詳しくはそこで聞こう」
「わかりました」
水沢と沢、その後から山根が19階の応接室に向かった。