マザー症候群
波斗が呆れたという顔をした。
「アル中になっても知らないよ」
「アル中。アル中が怖くて酒が飲めるか。ういっ」
美波、酒を飲んだ勢いで滅法強気。
「アル中になれば仕事も出来なくなる。それでもいいのか」
「仕事。そんなもの。いつだって辞めてやる。何だったら、明日辞表を出してもいいよ。嘘だと思っているだろう。嘘だと思うなら、食器棚の引き出し開けてみな」
波斗が念のため引き出しを開けてみた。そこには、辞表と書いた封筒が置いてある。
「お袋。会社を辞める気か」
波斗が辞表を手に取った。
「ああ」
「どうして?」
波斗が美波に尋ねた。