マザー症候群

 「何の用?・・・ですかっと」
 千鳥足の美波が顔を曇らせた。
 「用があるから長い時間ここにいてるんやろ。くそっ。待たせやがって」
 「用があるなら・・・手短に・ですよ。私は忙しいの。ですよ。ういっ」
 少しよろける美波。
 美波は酔いながらも凛の存在に苛ついていた。
 「よくも約束を破ってくれたな」
 「約束って何・・ですか?」
 「遊に手を出すな言うたやろ。それが、それが。二人で京都に行きやがって。馬鹿にするのもほどがあるやんけ。。畜生!それも、二泊も。旅行に行きやがって。あほんだらが」
 凛は余程腹が立つのか目が血走っている。
 「京都?そんな事もあったっけ。ああ、ありましたね」
 よろけながら美波が言った。
 「恍けやがって」
 「遊から聞いたの・・ですか?」
 「遊?言う訳ないやろ」
 「じゃ、どうして・・ですか?」
 美波が、不思議そうな顔をして凛に問いただした。


 
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