マザー症候群

 美波はホテルを一歩出ると。
 あっちへよろよろ。こっちへふらふら。
 千鳥足ならぬひよこ足。
 游はそのたびに美波を抱き起し、やっとのことでホップ8の7Fへ。
 ここは、そう赤い観覧車が二人を待つLのデイト場所。

 ウイっ。ウイっ。

 観覧車に乗る前から美波の泥酔状態は最高潮。   
 「Lのデイトを・・・ここで・・・しましょうね。ウイっ」
 美波、ふらつきながらも気は確か。
 「Lのデイトって・・・。いったい何すか」
 游が質問をした。
 「L・・A・・S・t。ウイっ」
 「それって、もしかしてラストデイトのことっすか」
 游が首を傾げながら。
 「ピンポン。大、大、大正解。二人の最後のデイト。・・ですよ」
 「あいつが自殺を計った。からっすか」
 「それも・・・ありますよ。それ・・・以外もね」
 美波が意味深に言った。
 「それ以外って何っすか」
 「大人の…事情ですよ。大酒飲みの最低なおばはん。それがわ・た・し。私ですよ。別れた方が・・・あんたの・・ためですよ」
 「俺はいやっすよ」
 游が強い口調で言った。


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