マザー症候群
「つべこべ言わずに・・・観覧車に・・乗りなさい。決めた。からね。変わら・ないよ。15分の遊覧飛行が終われば・・・。それで、お・し・ま・い。終わり。二人は赤の他人だからね」
美波がふらふらしながらも毅然と言った。
「嫌だ」
游が強情に拒否をした。
「さあ、乗るからね」
あれほどふらついていた美波が。不思議も不思議。しっかりとした態度を見せた。
二人は赤い観覧車の中へ。
游は不機嫌な表情で対面の席に座った。
観覧車が動き始めた。
都会の雑踏を眼下に、観覧車がゆっくりゆっくりと回り始める。
赤、青、黄。都会の宝石がまばゆいばかりに煌びやかさを競い合っている。