マザー症候群
テーブルの上には、ウイスキーの空き瓶。ビールの空き缶。焼酎、ワインの飲み残しの瓶が所狭しと並んでいる。
美波はそれらをチラッと横目で見ると、視線を自分の手の平に移した。両手の10本の指にくまなく視線を這わせる。
10本の指に手の震えは無い。先ほどまでの震えが嘘のように消えていた。
手が震え出すと、美波は決まって酒を煽った。すると、不思議、手の震えは治まった。
今日も朝からウイスキーを飲んでいた。そこまでは、美波には記憶があった。
ウイスキーの瓶を空にしたまでははっきりと覚えている。しかし、それからの記憶が空白になっている。
テーブルの上には、ビールの空き缶が4缶、
ワイン、焼酎の飲み残しが並んでいる。