マザー症候群
「お袋」
「どうしたんだ!」
急いで、波斗が母親を抱き抱えた。
美波は血の気の無い顔をして死んだようになっている。
波斗が心臓当たりに耳を当ててみる。
ドキドキ。ドキドキ。
弱弱しい脈が息づいている。
「まだ、生きている」
「良かった」
波斗が急いでジーンズの後ろポケットからスマホを取り出し119番通報を入れた。
数分後。
救急車のサイレン音が小さく鳴り響き、その音は段々大きくなりこちらに近づいて来た。
それから、すぐに救急隊員が二人が玄関に現れた。
隊員は2、3の質問をすると、美波をストレッチャーに載せて救急車の中へ運んだ。
波斗も救急車に乗り込んだ。
救急車はけたたましいサイレンを鳴らして美波を病院に搬送した。
その病院の医師はアルコール依存症と診断。波斗のたっての希望で、美波はアルコール依存症の専門病院に入院をした。