マザー症候群

「お袋のこんな情けない姿なんか見たくない。泣きたいよ。死にたいよ」
 酔った頭の中で、波斗の心の声が美波の心に深く突き刺さった。
 「情けない。情けない。情けない」
 美波は自分が余りにも情けなく惨めだった。
 自分なら酒を簡単に辞められる。と、美波は思っていたが。とんでもない。酒の魔力はそんなに甘くはない。
 酒を一滴飲めば、すぐさま地獄に引き釣り落とされる。
 その魔の力がどれだけ凄い力を持っているか、今痛いほど美波は思い知らされた。
 美波は惨めで惨めで心の底から泣いた
 激しく激しく泣きじゃくった。
 「ごめんね。ごめんね。ううう・・・ごめんね」
 美波は幼子のようにただ泣く事しか出来なかった。


 




 
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