マザー症候群

 「鯉か。濃い。濃厚の商品コンセプトを考えると悪くはないわね」
 美波が山根を見て微笑んだ。
 「鯉で面白いキャッチフレーズは作れる?どう、綾部君」
 美波がコピーライターの綾部を見て。
 「うーむ。鯉か。『こいよりこい』はどうやろ」
 コピーの綾部が面白いキャッチフレーズを閃いた。
 「こいより濃い。のこいは鯉でもいいし、恋でもいいかも」
 美波が綾部のアイデアをさらに膨らませた。
「この路線でテレビも行けそう?」
 美波がテレビの吉岡に意見を伺った。
 「大丈夫っす。意見を聞きながら絵コンテを考えていたんですけど。たとえば、こいよりこいのコメントに、錦鯉が水しぶきを上げる。こいよりこいで錦鯉と金色の鯉がキッスをする。美人タレントが『スノー・ラ』をひと口舐めて。やべえ。こっちにこい。っていうのは、どうですかね」
 「いいわね」
 美波が、吉岡のアイデアに指でOKのサインを。

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