マザー症候群

 「待ってました」
 と、美波が掛け声を掛けると。
 いひひひひん。
 と、波瑠が高笑いをする。
 それがかわゆい。たまらーん。
 美波はこの瞬間が至福の時。顔が思わず緩んでしまう。
 それからも、波瑠はひとり砂場でご機嫌で遊んでいる。よちよち歩いては砂に足を取れれて転んでしまう。
 それが、またかわゆい。
 美波は時間が経つのも忘れ、孫の行動を目を細めて見詰めていた。
 美波が腕時計を見た。
 「あら、いけない。こんなに時間が過ぎている」
 美波、時の流れの速さに驚く。
 「波瑠、そろそろ帰るわよ」
 美波が波瑠を呼び止めた。
 「ぶぶ、ぶぶぶ」
 波斗が訳のわかない言葉を発した。多分、分かったよとでも言っているのだろう。
 美波が波瑠の手を繋ぎ家路に向かった。



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