マザー症候群

 「ええええー」
 「嘘でしょうー」
 美波は女の顔を見て心臓が飛び出すかと思うほど驚いた。
 女はゲスな女、榎本道瑠だった。
 波瑠が美波に抱きついた。
 「あっ、よしよし」
 美波が波瑠を抱き締めた。
 「波瑠。良かったね。お前にはゲスな女の血が入っていなくて」
 「本当にラッキーだったね」
 美波が波瑠を見て目を細めた。
 波瑠が美波から離れた。
 美波の視線が再びテレビの画面に釘付けになった。
 ゲスな女がテレビカメラを見て意味深な口ぱくを行ない出したから。


< 290 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop